人事も経理も総務も中国へ

現在、2500社が中国(大連・上海)やマレーシアなどにアウトソーシングしている。中でも大連は群を抜いている。
人事は昇格、昇給などの核心部分は会社に残し、それらを含む人事履歴のデータ管理をアウトソーシングしている。
経理は、領収書などの証ひょう類をFAXで送信し、マニュアル化された項目や金額が入力される。あいまいなものは受け付けてもらえない。その結果、領収書等の不備は1000分の1にまで減ったという例が紹介された。
※これは、どの企業、どの組織にもよい教訓となる。
※会社経理や政治とカネ、人情もしがらみも関係が無い。
※マニュアル化された理想のルールだけで処理される。
NHKの番組では、ある会社の総務部にスポットを当てた。
番組では、全国に支店を持つ企業の本社総務部が所管していた営業車(レンタカー)の管理を大連企業に委託した事例を紹介した。──(3ヶ月の追跡ドキュメントである。)
総務部はいわばスポット作業の連続のような仕事をしている。
この会社の7人の総務部員は130種類の業務をこなしてきた。社内外のサービス部門として代替がきかない仕事をしてきたという自負もあったであろう。
アウトソーシングできる仕事の分類を指示された部員の気持ちもよく理解できるものだった。
こうした受入側の空気を、大連企業から研修に来た中国女性の仕事ぶりが徐々に変えていった。
はじめは、セダンやバンといった車種すら分からなかった彼女が、努力と素直さと理解力で信頼を勝ち取り、大連での実務テスト(実験)に合格する。契約は成立した。彼女の作成したマニュアルが、その大連企業のマニュアルとなる。
すでに電話サービスに従事している中国女性のインタビューでは、その日本語の上手さには感心した。中国なまりは全くない。アナウンサーやレポーターといった職業の人と区別がつかない。分かりにくかったという関西弁の発音も快かった。
一所懸命で、とてもハングリーなのだ。
日本人で、アメリカやヨーロッパで成功した人も同様だっただろう。言葉の壁を乗り越えて異なる文化圏で認められるということは、そのこと自体が充実感を生むだろう。
※グローバル・エコノミーでは、同じ仕事は同等の生産力として評価されることになる。購買力の比較では、所得の価格差ほどは差がないように思われるが、元の切り上げが求められているから、徐々にその差も縮まるだろう。
先進国だからといって、同じ仕事で何倍もの賃金をもらうことはできなくなる方向に、世界が流れて行くようだ。
コモディティ化したした技術ではありふれた賃金しか得られなくなる、と考え方を変えなくてはいけないだろう。高度な知識・技術の習得が必要不可欠であり、そうした研鑽を怠る者は中流階層に留まることができなくなる。
中流階層の多い国、地域が安定した社会の基盤を成すのだから、高度な知識・技術の学習は自己のためのみならず、地域や世界の安定に寄与することになる。