エネルギー・環境連立方程式

地球の呼吸はいつ止まるのか?―エネルギー・環境連立方程式

地球の呼吸はいつ止まるのか?―エネルギー・環境連立方程式

本書は、新聞広告を見てすぐ注文した。著者は二人、英国人である。そのことから、日常的に接する図書の多くがアメリカ人の書いたものであることに思い至った。アルビン・トフラー、ジョセフ・スティグリッツトーマス・フリードマンなどの各氏である。
英国人なので、アメリカについての言及が少し勝手が違うという印象だった。1977年から1985年にかけて、アメリカの石油消費量は17%減ったが、国内総生産(GDP)は27%増加した。米国はまた、今後18年(2025年まで)の間に、予測される石油消費量の52%以上を削減できるかも知れない。残りの48%のうち半分はバイオ燃料に切り替え、さらに残りの約4分の1は、オイルサンド(カナダ)などの非在来型石油に切り替えられる。そうすれば、中東の危険な地域への依存から免れられる。また、カリフォルニア州などの先進的ないくつかの州があることも紹介している。
石油、天然ガス、石炭などの化石燃料の埋蔵量については、北極海周辺とカスピ海周辺に相当量が存在し、掘削技術の進歩とともに深く掘り下げていけば、(どうも68年で枯渇するということはなく)、2〜3百年は供給側で行き詰ることはないらしい。
この本が出版されたのは2007年11月だから、資料によっては、2006年のものも含まれる。とくに影響があるのは、石油1バレルが50ドル以上の高値が続くか、という設問だった。石油の埋もれた場所が深ければ、技術が開発されたとしても、コストは上がる。石油よりはクリーンな天然ガスは、ロシアに豊富に存在するが、パイプラインの敷設とテロなどによる破壊のリスクを計算に入れれば、コストは高くなる。(現在の1バレル100ドルとか110ドルなどは、さすがに想定されていないけれど)。
不幸なことに、こうした高値が続けば、埋蔵量は増えていき、現状で供給量の限度を心配する必要はなさそうである。太陽光発電はコストが高い、と切り捨てられてしまった。